ドロップアウト電圧
シリーズレギュレーターの入力電圧(Vin)と出力電圧(Vout)の最小電圧差のことをドロップアウト電圧と呼びます。
ドロップアウト電圧=Vin - Vout
ドロップアウト電圧は出力電圧、出力電流(Iout)、周囲温度によって変化します。
- 出力電圧が高いほどドロップアウト電圧は小さくなります
- 出力電流が大きいほどドロップアウト電圧は大きくなります
- 周囲温度が高いほどドロップアウト電圧は大きくなります
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図1 ドロップアウト電圧
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図2 ドロップアウト電圧 vs Vout
LDO(Low Drop Out)とは
シリーズレギュレータでドロップアウト電圧が小さいものをLDO(Low DropOut)と呼びます。
シリーズレギュレータの損失は(Vin-Vout)×Iout + Vin×消費電流となりますが、(Vin-Vout)×Ioutが大部分を占めます。
そのためLDOを使用し入出力電圧差を小さくすることで損失を減らし効率を上げることができます。
回路構成
図3のように制御素子(出力ドライバー)がNch MOSFETの場合、ソースがVoutとなります。
図4にようにMOSFETを動作するにはIdsに応じたVgsが必要となります。そのためVoutはゲート電圧-Vgs以上にはできません。
またゲート電圧はVinまでしか上げることができないため、VoutはVin-Vgs以下になります。
そのため、ドロップアウト電圧(Vin-Vout)はVgs以上必要となります。
Vout≦ゲート電圧(Vin) - Vgs
Vin - Vout(ドロップアウト電圧) ≧ Vgs
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図3 Nch出力ドライバー
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図4 Ids vs Vgs
図5のように制御素子(出力ドライバー)がPch MOSFETの場合、ソースがVinとなるためVgsにVoutは影響しません。
またゲート電圧はGNDまで下げることができ、Vgs(Vin)に応じたON抵抗 ×Ioutまでドロップアウト電圧を下げることができ、LDOとして動作できます。
Vgs=Vin - ゲート電圧(0V) =Vin
Vin - Vout(ドロップアウト電圧) = Vin - Ron×Iout
Voutが低い設定の場合、入力電圧も低くなりVgsも低くなります。そのためON抵抗は上がりドロップアウト電圧が大きくなります。
図5 Pch出力ドライバー
※出力ドライバーがNchでもゲート駆動回路が別電源になっている2電源型や、昇圧回路でゲート電圧をVin以上に上げることてドロップアウト電圧を低減しているLDOもあります。
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